補助金活用テクニック
補助金の併用は可能?
組み合わせ事例と注意点【2026年版】
補助金ナビ編集部 最終更新:2026年6月3日
この記事のポイント
補助金の「同一経費への重複適用」は原則禁止ですが、異なる経費・異なる事業に対して複数の補助金を組み合わせることは可能です。また補助金(返済不要・採択競争あり)と助成金(返済不要・要件充足で受給可能)は性質が異なり、多くの場合併用できます。正しい理解で補助金の最大活用を目指しましょう。
補助金併用の基本ルール
複数の補助金を組み合わせて活用する際の基本ルールを理解することが重要です。一言で言えば「同一の経費に対して複数の補助金を受けることはできないが、異なる経費・異なる事業であれば同時期に複数の補助金を受けることは可能」です。
補助金の重複禁止ルール
- 同一経費の重複受給は禁止:ある設備Aの購入費用に補助金AとBを両方適用することはできない
- 自己負担分への充当は禁止:補助金Aで自己負担となる部分を補助金Bで補填することは原則不可
- 補助率超過の禁止:補助金を合計すると経費の100%を超える場合は超過分が返還される
補助金と助成金の違いと併用
補助金(競争的資金)と助成金(厚生労働省系の雇用関連等)は根拠法・財源が異なるため、多くの場合で併用が可能です。同一経費への重複適用でなければ、設備投資に補助金、人材育成に助成金という組み合わせは非常にメジャーです。
| 組み合わせパターン | 可否 | 条件 |
| 補助金A+補助金B(異なる経費) | ○ 可能 | 経費が重複しないこと |
| 補助金A+補助金B(同一経費) | × 不可 | 同一経費への重複適用は禁止 |
| 補助金+雇用助成金 | ○ 可能(原則) | 経費の種類が異なるため多くの場合OK |
| 補助金+税制優遇(経営力向上計画等) | ○ 可能 | 税制優遇は補助金と重複禁止対象外 |
| 補助金+低利融資(日本公庫等) | ○ 可能 | 融資は補助金ではないため重複禁止対象外 |
| 国の補助金+自治体補助(同一経費) | △ 要確認 | 制度により異なる。多くは不可だが例外あり |
併用できる典型パターン(OK例)
✅ OK例1:設備費+IT化費用の分割申請
ものづくり補助金で機械設備(旋盤・加工機)を申請し、IT導入補助金で生産管理システム(ソフトウェア)を申請する。対象経費が完全に分かれているため、両方受給可能。
✅ OK例2:設備補助金+雇用助成金
ものづくり補助金で設備投資を申請し、人材開発支援助成金で新設備の操作訓練費用(研修費)を申請する。補助対象が「設備費」と「研修費」で異なるため併用可能。
✅ OK例3:持続化補助金+キャリアアップ助成金
持続化補助金でWebサイト制作・広告費を申請し、キャリアアップ助成金でアルバイト→正社員転換の助成金を受給する。経費の種類・所管省庁がまったく異なるため問題なし。
✅ OK例4:省エネ補助金+税制優遇(中小企業経営強化税制)
省エネ設備の導入に対して省エネ補助金を受給しつつ、同じ設備で中小企業経営強化税制による即時償却・税額控除も適用する。税制優遇は補助金の重複禁止ルールの対象外。
併用できないパターン(NG例)
⚠️ NG例1:同一設備への重複申請
レーザー加工機(500万円)の購入にものづくり補助金と省力化投資補助金の両方を申請する。同一経費への重複は禁止。どちらか一方を選ぶ必要がある。
⚠️ NG例2:自己負担分への別補助金充当
ものづくり補助金で補助率1/2・自己負担1/2となる場合、自己負担分を持続化補助金で補填しようとするのは不可。自己負担分は自己資金または融資で賄う必要がある。
⚠️ NG例3:国補助金+自治体補助金(同一経費・同一趣旨)
国のIT導入補助金でPOSシステムを申請し、同一のPOSシステムに都道府県の商業振興補助金を上乗せしようとする。多くの自治体補助では「国の補助金を受けた経費への上乗せは不可」と明記されている。
具体的な組み合わせ事例4選
事例1:製造業(従業員30名)の複合活用
| 補助金名 | 活用内容 | 補助額(目安) |
| ものづくり補助金 | CNC旋盤導入(設備費800万円) | 400万円(補助率1/2) |
| IT導入補助金 | 生産管理システム導入(60万円) | 45万円(補助率75%) |
| 人材開発支援助成金 | 新設備操作訓練(研修費30万円) | 22万円(補助率75%) |
| 合計補助額 | | 約467万円 |
総投資額890万円のうち467万円(約52%)を各種補助金・助成金でカバーした事例です。重複する経費はなく、すべて適法に受給しています。
事例2:飲食業(個人事業主)の組み合わせ
| 補助金名 | 活用内容 | 補助額(目安) |
| 持続化補助金(デジタル化枠) | 予約管理システム・Webサイト(120万円) | 80万円(補助率2/3) |
| 自治体省エネ補助 | 業務用エアコン更新(40万円) | 13万円(補助率1/3) |
| キャリアアップ助成金 | アルバイト→正社員1名転換 | 57万円(正社員化コース) |
| 合計補助額 | | 約150万円 |
事例3:IT企業(従業員8名)の複合活用
| 補助金名 | 活用内容 | 補助額(目安) |
| ものづくり補助金(DX枠) | AI分析システム開発(1,000万円) | 500万円(補助率1/2) |
| 中小企業経営強化税制 | 同システムで即時償却適用 | 税額軽減(補助金とは別) |
| 日本公庫 女性・若者向け融資 | 代表者が32歳・低利融資300万円 | 金利優遇(年0.5%程度) |
| 主な補助額 | | 約500万円+税制優遇 |
事例4:小売業(従業員3名・小規模事業者)の組み合わせ
| 補助金名 | 活用内容 | 補助額(目安) |
| 持続化補助金(通常枠) | チラシ制作・展示会出展(50万円) | 33万円(補助率2/3) |
| IT導入補助金(インボイス枠) | 会計ソフト・POSシステム(40万円) | 30万円(補助率75%) |
| 合計補助額 | | 約63万円 |
持続化補助金は「販促経費」、IT導入補助金は「ソフトウェア費用」と対象経費が明確に異なるため、両方の受給が可能です。
複数の補助金を組み合わせて最大活用する
診断ツールで自社に合う補助金の組み合わせを確認できます
無料で診断を始める →
補助金+助成金の組み合わせ
補助金(経産省・中小企業庁系)と助成金(厚生労働省系の雇用関連)は財源・所管省庁が異なるため、多くの場合で併用が認められています。特に設備投資と人材育成を同時に進める場合に非常に効果的です。
よく組み合わせられる補助金+助成金の例
- ものづくり補助金 + 人材開発支援助成金:新設備導入+操作訓練費用。最もメジャーな組み合わせ
- 持続化補助金 + キャリアアップ助成金:販促強化+非正規→正社員転換
- IT導入補助金 + 雇用調整助成金:IT化推進期間中の休業補償(状況による)
- 省エネ補助金 + 人材育成支援助成金:設備更新+省エネ管理者育成研修
申請順序・タイミングの考え方
複数の補助金を申請する場合、申請のタイミングと順序が重要です。
基本的な考え方
- 採択率・補助額が大きい補助金を優先して申請する
- 採択結果が出てから次の申請を検討することで、重複リスクを回避できる
- 公募時期が重なる場合は、準備が整っている方を先に申請する
- 助成金(雇用関連)は年間通じて申請可能なため、補助金の採否確定後に申請しやすい
事業年度をまたぐ場合の注意点
補助金によっては「同一事業年度に2つの補助金を受けることを制限する」規定がある場合があります。特に中小企業庁所管の制度(ものづくり・持続化・IT導入等)は、補助金同士の受給制限について公募要領を必ず確認してください。
併用申請時のチェックリスト
- ☑ 各補助金の対象経費が重複していないことを確認
- ☑ 各補助金の公募要領に「他の補助金との併用禁止」条項がないか確認
- ☑ 同一設備・ツールへの複数補助金の適用がないか確認
- ☑ 補助金の自己負担分を別の補助金で補填していないか確認
- ☑ 補助金と助成金を組み合わせる場合は、各制度に申告する(隠蔽はNG)
- ☑ 税理士・認定支援機関に組み合わせの適法性を確認する
- ☑ 各補助金の事業期間・実績報告期限が管理できるか確認
よくある質問(FAQ)
ものづくり補助金とIT導入補助金は同時に申請できますか?
異なる経費に対して申請することは可能です。たとえばものづくり補助金で生産設備(機械装置)を、IT導入補助金で会計ソフト・受発注システムを申請するケースは多くあります。ただし同一のシステム・ソフトウェアを両方で申請することはできません。また、同一の事業再構築計画の中にある場合は重複と見なされる場合があるため、各制度の事務局に確認することをお勧めします。
過去に補助金を受けた設備に再度補助金を申請できますか?
過去に補助金を受けた設備の「更新・改良」に新たな補助金を申請することは可能です。ただし「財産処分制限期間(補助事業終了から5年以内)」中の設備を無断で廃棄・売却することは禁止されており、その場合は前回の補助金の返還を求められます。期間内に更新が必要な場合は、前回の事務局に相談してください。
補助金と融資(日本公庫等)は併用できますか?
はい、併用できます。融資は返済義務のある借入金であり、補助金(返済不要)とは性質が異なります。補助金の交付決定書を融資の担保・審査材料として活用するケースも多く、「補助金採択→融資申請」という流れは実務上非常に一般的です。日本政策金融公庫では補助金採択を評価して融資判断するケースがあります。
補助金と税制優遇(経営力向上計画等)は同時に使えますか?
はい、同時に使えます。税制優遇措置(中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制等)は税務上の優遇であり、補助金の重複禁止ルールとは無関係です。ただし、補助金受給で圧縮記帳を適用した場合、取得価額が圧縮されるため減価償却・税額控除の基礎が変わります。具体的な税務処理は税理士に相談してください。
補助金の申請中に別の補助金に採択された場合どうなりますか?
申請中であれば問題ありません。ただし両方が採択された場合、同一経費への重複適用は認められないため、どちらの補助金でどの経費を申請するかを明確に分ける必要があります。採択後の交付申請段階で経費を整理し、重複がないように調整してください。不明な場合は各補助金の事務局に問い合わせることをお勧めします。
自治体補助金と国の補助金は組み合わせられますか?
制度によって異なります。多くの自治体補助では「国の補助金を受けた同一経費には適用しない」と規定されています。ただし、国の補助金が対象とする経費と自治体補助が対象とする経費が異なる場合は併用できることがあります。また「補助率を合計しても100%を超えない範囲で上乗せ可能」とする自治体制度も存在します。必ず各窓口に確認してください。
補助金の重複申請がバレた場合どうなりますか?
重複受給が発覚した場合、補助金の全額返還を求められます。場合によっては加算金(返還額に一定率を上乗せ)が課されることもあります。また不正受給として公表・制度利用停止処分になる可能性があります。意図的な不正申請は補助金適正化法違反となり、刑事罰の対象になる場合もあります。「バレないだろう」という甘い考えは厳禁です。
複数の補助金を管理するコツはありますか?
補助金ごとに専用の経費管理ファイル・通帳を用意することをお勧めします。また各補助金の①対象経費の範囲、②事業実施期間(発注可能日〜)、③実績報告期限をExcel等で一元管理しておくと混乱を防げます。複数の補助金を同時進行する場合は、認定支援機関・税理士・商工会議所のサポートを活用することで管理ミスを大幅に減らすことができます。
あなたの会社に合う補助金の組み合わせを診断する
30秒の質問に答えるだけで、最適な補助金が見つかります
無料で診断を始める →
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。