ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、経済産業省・中小企業庁が所管する補助金で、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的なサービス開発、設備投資、生産プロセスの改善などを支援することを目的としています。
制度は毎年見直されており、2026年の第23次公募時点では「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つの枠で募集されています(かつて設けられていた省力化向けの枠は、現在は別制度の「中小企業省力化投資補助金」に整理されています)。申請には「事業計画書」の作成が必要で、審査員の評価を受けて採択が決まります。
2026年の第23次公募では、補助枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つです。高付加価値化枠は従業員規模によって補助上限額が変わります。
| 枠 | 従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 製品・サービス 高付加価値化枠 |
1〜5人 | 750万円 | 中小1/2 小規模2/3 |
| 同上 | 6〜20人 | 1,000万円 | |
| 同上 | 21〜50人 | 1,500万円 | |
| 同上 | 51人以上 | 2,500万円 | |
| グローバル枠 | 規模区切りなし | 3,000万円 | 中小1/2 小規模2/3 |
このほか、大幅な賃上げに取り組む事業者は補助上限額が100万〜1,000万円上乗せされ、最低賃金引き上げに取り組む事業者は補助率が2/3に引き上げられる特例があります。
出典:ものづくり補助金総合サイト「第23次公募要領概要版」(2026年2月)
※補助額・補助率・上限額は公募回・従業員規模によって異なります。最新の公募要領を必ずご確認ください。
ものづくり補助金の申請対象は、以下の要件を満たす中小企業・小規模事業者です。
| 業種 | 資本金 | 従業員数(小規模) |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 20人以下 |
| 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) | 5,000万円以下 | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 5,000万円以下 | 20人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 5人以下 |
特定非営利活動法人(NPO法人)は対象外です。また、みなし大企業(大企業が実質的に支配する中小企業)も申請できません。
ものづくり補助金の主な補助対象経費は以下の通りです。
「既存製品の改良」ではなく、自社にとっての「革新性」を示すことが重要です。同業他社と差別化できる点を具体的な数値・データで示しましょう。
技術的な裏付け、既存の技術力・設備・人材、過去の実績などを示し、計画が現実的に実行可能であることを証明します。
売上増加率、生産性向上率、コスト削減額など、定量的な成果目標を設定し、達成の根拠を明確に記載してください。
ものづくり補助金には、基本的な審査項目に加えて「加点項目」が設定されています。経営革新計画の承認を受けていること、事業継続力強化計画の認定を受けていること、パートナーシップ構築宣言への参加などが加点対象になります。これらを事前に準備しておくことで採択率が向上します。
ものづくり補助金は年に複数回公募が行われます。一度不採択になっても、事業計画書の内容を改善して次の公募回に再申請することが可能です。不採択通知には審査結果のフィードバックが含まれることがあるため、不採択の原因を分析して改善点を明確にしてから再申請することが採択への近道です。認定支援機関に改善点を相談することも有効です。
ものづくり補助金は2020年の第1次公募から継続して実施されています。当ナビ編集部が、公式サイトで公表されている各公募回の申請者数・採択者数をもとに採択率を集計しました。
| 締切回 | 採択発表 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| 1次 | 令和2年4月 | 2,287 | 1,429 | 62.5% |
| 2次 | 令和2年6月 | 5,721 | 3,267 | 57.1% |
| 3次 | 令和2年9月 | 6,923 | 2,637 | 38.1% |
| 4次 | 令和3年2月 | 10,312 | 3,178 | 30.8% |
| 5次 | 令和3年3月 | 5,299 | 2,337 | 44.1% |
| 6次 | 令和3年6月 | 4,980 | 2,362 | 47.4% |
| 7次 | 令和3年9月 | 5,507 | 2,768 | 50.3% |
| 8次 | 令和4年1月 | 4,653 | 2,780 | 59.7% |
| 9次 | 令和4年3月 | 3,613 | 2,247 | 62.2% |
| 10次 | 令和4年7月 | 4,294 | 2,612 | 60.8% |
| 11次 | 令和4年10月 | 4,744 | 2,817 | 59.4% |
| 12次 | 令和4年12月 | 3,256 | 1,907 | 58.6% |
| 13次 | 令和5年2月 | 3,322 | 1,927 | 58.0% |
| 14次 | 令和5年6月 | 4,865 | 2,470 | 50.8% |
| 15次 | 令和5年9月 | 5,694 | 2,861 | 50.2% |
| 16次 | 令和6年1月 | 5,608 | 2,738 | 48.8% |
| 17次 | 令和6年5月 | 629 | 185 | 29.4% |
| 18次 | 令和6年6月 | 5,777 | 2,070 | 35.8% |
| 19次 | 令和7年7月 | 5,336 | 1,698 | 31.8% |
| 20次 | 令和7年10月 | 2,453 | 825 | 33.6% |
| 21次 | 令和8年1月 | 1,872 | 638 | 34.1% |
| 22次 | 令和8年4月 | 1,552 | 582 | 37.5% |
※申請者数・採択者数は公式公表値。採択率は当ナビ編集部が算出(採択者数÷申請者数)。4〜13次は「一般型」と「グローバル展開型」の合算値。
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト「採択結果」
推移を見ると、制度開始当初(1〜2次)は約57〜62%と高めでしたが、申請が集中した3〜4次で30%台まで低下しました。その後8〜13次は約58〜62%に回復したものの、14次以降は再び低下傾向が続き、直近の18〜22次は31〜37%台で推移しています。「年度や公募回によって採択率は2倍近く変動する」のがこの補助金の実態で、応募者数が多い回ほど採択率が下がりやすい傾向が読み取れます。採択率が下がっている局面ほど、事業計画書の完成度が採否を分けます。
以下は、全国中小企業団体中央会が公開する「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の事業者の取組です。社名・所在地・成果は同事例集に基づく公開情報です(架空の事例ではありません)。
和菓子店から地元食材を使った洋菓子へ軸足を移し、看板商品のシュークリームが伸びる一方で、手作業中心の製造が増産要請に追いつかない課題を抱えていました。ものづくり補助金を活用して大型ミキサー・包餡機・自動整列機を導入した結果、シュークリーム全体の製造時間を従来比で約3割削減。包餡工程は作業時間を約35%短縮して人員を2人から1人に、整列工程は5人から3人に省人化し、1日あたりの製造個数を4,000個から6,000個以上へ引き上げました。
トラック・建設機械・農機具向けの金属プレス加工を手がける従業員約60人の企業。受注部品の多様化で既存の150トンプレス機ではスペック不足が顕在化していました。ものづくり補助金でコマツ製200トンプレス機を導入し、大型金型で従来2工程を1工程に集約してコストを削減。建設機械向けの燃料タンクカバーなど新規受注の獲得にもつながり、売上高は2022年5月期の約7.5億円から2024年5月期の約8.9億円へと伸長しました。
ポンプの重要部品「インペラ」を砂型鋳造で製造し、発注企業から100分の1mmレベルの精度を求められていました。従来はノギスによる手作業の測定でしたが、ものづくり補助金で非接触の3次元(3D)スキャナーを導入。ボタン一つで高精度な寸法測定・CADデータ化ができるようになり、検査の自動化と属人化の解消を実現。検査担当者を収益性の高い新規事業の開拓へ振り向けられるようになりました。
第22次(2026年4月発表)は37.5%。直近5回はおおむね3割台で推移。
第1〜21次の累計で42,277件・約3,613億円が交付決定(公式公表値)。
「令和6年度成果事例集」に15者の実在事例を掲載。公式サイトで全文を確認できる。
ものづくり補助金は2026年も継続して公募が行われています。直近で採択結果が公表されているのは第22次締切(2026年4月30日発表・採択率37.5%)です。最新の第23次締切は申請受付が2026年5月8日に終了し、採択結果は2026年8月上旬頃の公表が予定されています(執筆時点では審査中)。
※本記事の情報は2026年6月20日時点で公式サイトに公表されている内容に基づきます。採択率は公式公表値から当ナビ編集部が算出したものです。補助金の内容・要件は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。