ものづくり補助金2026年度申請ガイド
対象者・補助率・申請手順を徹底解説

この記事のポイント
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に取り組む中小企業を支援する代表的な補助金です。最新の第23次公募(2026年)では、製品・サービス高付加価値化枠が従業員規模に応じて最大2,500万円、グローバル枠が最大3,000万円(いずれも補助率は中小1/2・小規模2/3)で、設備投資・新製品開発を検討している企業に広く活用されています。
「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」—どちらが自社に合う?

製品・サービス高付加価値化枠:革新的な新製品・新サービスの開発が対象。補助上限は従業員規模により750万〜2,500万円。事業計画の「革新性」が重点的に評価される。
グローバル枠:海外直接投資・輸出・インバウンド対応・海外企業との共同事業など海外需要の開拓が対象。補助上限3,000万円。

国内向けの新製品・新サービス開発なら高付加価値化枠、海外展開を伴うなら グローバル枠を選びましょう。なお、人手不足解消のための省力化投資は、現在はものづくり補助金とは別制度の「中小企業省力化投資補助金」が受け皿となっています(出典:第23次公募要領概要版)。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、経済産業省・中小企業庁が所管する補助金で、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的なサービス開発、設備投資、生産プロセスの改善などを支援することを目的としています。

制度は毎年見直されており、2026年の第23次公募時点では「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つの枠で募集されています(かつて設けられていた省力化向けの枠は、現在は別制度の「中小企業省力化投資補助金」に整理されています)。申請には「事業計画書」の作成が必要で、審査員の評価を受けて採択が決まります。

2026年度の主な補助枠と内容

2026年の第23次公募では、補助枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つです。高付加価値化枠は従業員規模によって補助上限額が変わります。

従業員規模補助上限額補助率
製品・サービス
高付加価値化枠
1〜5人 750万円 中小1/2
小規模2/3
同上 6〜20人 1,000万円
同上 21〜50人 1,500万円
同上 51人以上 2,500万円
グローバル枠 規模区切りなし 3,000万円 中小1/2
小規模2/3

このほか、大幅な賃上げに取り組む事業者は補助上限額が100万〜1,000万円上乗せされ、最低賃金引き上げに取り組む事業者は補助率が2/3に引き上げられる特例があります。
出典:ものづくり補助金総合サイト「第23次公募要領概要版」(2026年2月)

※補助額・補助率・上限額は公募回・従業員規模によって異なります。最新の公募要領を必ずご確認ください。

対象者(申請できる事業者)

ものづくり補助金の申請対象は、以下の要件を満たす中小企業・小規模事業者です。

業種資本金従業員数(小規模)
製造業・建設業・運輸業3億円以下20人以下
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く)5,000万円以下5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業5,000万円以下20人以下
卸売業1億円以下5人以下

特定非営利活動法人(NPO法人)は対象外です。また、みなし大企業(大企業が実質的に支配する中小企業)も申請できません。

補助対象となる経費

ものづくり補助金の主な補助対象経費は以下の通りです。

注意:土地・建物の取得費、汎用品(PCやスマートフォン等)は原則対象外です。補助事業の終了後も一定期間の事業継続義務があります。また、補助事業期間中は「事業化状況報告」として毎年報告書を提出する義務があります。採択後の事務手続きも含めた体制を事前に整えておきましょう。

申請の手順(ステップバイステップ)

  1. GビズIDプライムを取得する 申請はオンラインで行うため、GビズIDプライムアカウントが必要です。発行に数週間かかる場合があるので早めに申請してください。
  2. 公募要領を確認する ものづくり補助金の公式ページから最新の公募要領をダウンロードし、申請枠・補助対象・締切日を確認します。
  3. 事業計画書を作成する 審査で最も重要なのが事業計画書です。「革新性」「実現可能性」「将来の展望」「費用対効果」などの観点で説得力のある内容を記載します。認定支援機関(金融機関・商工会議所等)の確認書も必要です。
  4. 認定支援機関の確認書を取得する 中小企業庁が認定した支援機関(税理士・金融機関・商工会議所等)から事業計画の確認書を発行してもらいます。
  5. 電子申請(補助金申請システム) GビズIDを使って補助金申請システム(jGrants)から申請書類一式を提出します。
  6. 審査・採択結果の発表 採択結果は公式サイト・メールで通知されます。採択後に交付申請を行います。
  7. 交付決定後に設備投資・発注を実施 必ず交付決定の通知を受けてから発注・契約・支払いを行ってください。交付決定前の支払いは補助対象外です。
  8. 実績報告・確定検査・補助金受領 事業完了後に実績報告を提出し、確定検査を経て補助金が振り込まれます。

採択されやすい事業計画書のポイント

革新性を明確に示す

「既存製品の改良」ではなく、自社にとっての「革新性」を示すことが重要です。同業他社と差別化できる点を具体的な数値・データで示しましょう。

実現可能性を裏付ける

技術的な裏付け、既存の技術力・設備・人材、過去の実績などを示し、計画が現実的に実行可能であることを証明します。

数値目標を具体的に記載する

売上増加率、生産性向上率、コスト削減額など、定量的な成果目標を設定し、達成の根拠を明確に記載してください。

加点項目を積極的に活用する

ものづくり補助金には、基本的な審査項目に加えて「加点項目」が設定されています。経営革新計画の承認を受けていること、事業継続力強化計画の認定を受けていること、パートナーシップ構築宣言への参加などが加点対象になります。これらを事前に準備しておくことで採択率が向上します。

不採択でも再申請が可能

ものづくり補助金は年に複数回公募が行われます。一度不採択になっても、事業計画書の内容を改善して次の公募回に再申請することが可能です。不採択通知には審査結果のフィードバックが含まれることがあるため、不採択の原因を分析して改善点を明確にしてから再申請することが採択への近道です。認定支援機関に改善点を相談することも有効です。

公募回別の採択率の推移(独自集計)

ものづくり補助金は2020年の第1次公募から継続して実施されています。当ナビ編集部が、公式サイトで公表されている各公募回の申請者数・採択者数をもとに採択率を集計しました。

締切回採択発表申請者数採択者数採択率
1次令和2年4月2,2871,42962.5%
2次令和2年6月5,7213,26757.1%
3次令和2年9月6,9232,63738.1%
4次令和3年2月10,3123,17830.8%
5次令和3年3月5,2992,33744.1%
6次令和3年6月4,9802,36247.4%
7次令和3年9月5,5072,76850.3%
8次令和4年1月4,6532,78059.7%
9次令和4年3月3,6132,24762.2%
10次令和4年7月4,2942,61260.8%
11次令和4年10月4,7442,81759.4%
12次令和4年12月3,2561,90758.6%
13次令和5年2月3,3221,92758.0%
14次令和5年6月4,8652,47050.8%
15次令和5年9月5,6942,86150.2%
16次令和6年1月5,6082,73848.8%
17次令和6年5月62918529.4%
18次令和6年6月5,7772,07035.8%
19次令和7年7月5,3361,69831.8%
20次令和7年10月2,45382533.6%
21次令和8年1月1,87263834.1%
22次令和8年4月1,55258237.5%

※申請者数・採択者数は公式公表値。採択率は当ナビ編集部が算出(採択者数÷申請者数)。4〜13次は「一般型」と「グローバル展開型」の合算値。
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト「採択結果」

推移を見ると、制度開始当初(1〜2次)は約57〜62%と高めでしたが、申請が集中した3〜4次で30%台まで低下しました。その後8〜13次は約58〜62%に回復したものの、14次以降は再び低下傾向が続き、直近の18〜22次は31〜37%台で推移しています。「年度や公募回によって採択率は2倍近く変動する」のがこの補助金の実態で、応募者数が多い回ほど採択率が下がりやすい傾向が読み取れます。採択率が下がっている局面ほど、事業計画書の完成度が採否を分けます。

実在の成果事例(公式「成果事例集」より)

以下は、全国中小企業団体中央会が公開する「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の事業者の取組です。社名・所在地・成果は同事例集に基づく公開情報です(架空の事例ではありません)。

株式会社山から(山形県上山市/洋菓子製造)

和菓子店から地元食材を使った洋菓子へ軸足を移し、看板商品のシュークリームが伸びる一方で、手作業中心の製造が増産要請に追いつかない課題を抱えていました。ものづくり補助金を活用して大型ミキサー・包餡機・自動整列機を導入した結果、シュークリーム全体の製造時間を従来比で約3割削減。包餡工程は作業時間を約35%短縮して人員を2人から1人に、整列工程は5人から3人に省人化し、1日あたりの製造個数を4,000個から6,000個以上へ引き上げました。

有限会社武居製作所(栃木県栃木市/金属プレス加工)

トラック・建設機械・農機具向けの金属プレス加工を手がける従業員約60人の企業。受注部品の多様化で既存の150トンプレス機ではスペック不足が顕在化していました。ものづくり補助金でコマツ製200トンプレス機を導入し、大型金型で従来2工程を1工程に集約してコストを削減。建設機械向けの燃料タンクカバーなど新規受注の獲得にもつながり、売上高は2022年5月期の約7.5億円から2024年5月期の約8.9億円へと伸長しました。

株式会社ヤナギモト(大阪府高石市/砂型鋳造・ポンプ部品)

ポンプの重要部品「インペラ」を砂型鋳造で製造し、発注企業から100分の1mmレベルの精度を求められていました。従来はノギスによる手作業の測定でしたが、ものづくり補助金で非接触の3次元(3D)スキャナーを導入。ボタン一つで高精度な寸法測定・CADデータ化ができるようになり、検査の自動化と属人化の解消を実現。検査担当者を収益性の高い新規事業の開拓へ振り向けられるようになりました。

直近の採択率

第22次(2026年4月発表)は37.5%。直近5回はおおむね3割台で推移。

累計の交付決定

第1〜21次の累計で42,277件・約3,613億円が交付決定(公式公表値)。

公式の成果事例集

「令和6年度成果事例集」に15者の実在事例を掲載。公式サイトで全文を確認できる。

最新の公募状況(2026年6月時点)

ものづくり補助金は2026年も継続して公募が行われています。直近で採択結果が公表されているのは第22次締切(2026年4月30日発表・採択率37.5%)です。最新の第23次締切は申請受付が2026年5月8日に終了し、採択結果は2026年8月上旬頃の公表が予定されています(執筆時点では審査中)。

「中小企業新事業進出補助金」との違いに注意

近年新設された「中小企業新事業進出補助金」は、中小企業基盤整備機構が運営するものづくり補助金とは別の制度で、ものづくり補助金の後継ではありません。第23次公募要領では、新事業進出補助金や事業再構築補助金の交付候補者・実施中の事業者について申請制限が設けられているため、複数制度の利用を検討している場合は、どの制度を使うかを事業内容に応じて選ぶ必要があります。

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よくある質問(FAQ)

サービス業でも申請できますか?
はい、「ものづくり補助金」という名称ですが、製造業に限らずサービス業・小売業・飲食業なども対象です。革新的なサービス提供・プロセス改善に取り組む事業者が対象となります。
採択率はどのくらいですか?
公募回によって大きく異なります。公式公表値から算出すると、制度初期や一部の回では5〜6割台でしたが、直近の第18〜22次は3割台で推移しています(本記事「公募回別の採択率の推移」を参照)。事業計画書の完成度が採否に大きく影響するため、認定支援機関や専門家のサポートを受けることをお勧めします。
複数年度にわたる設備投資でも申請できますか?
補助事業期間内(交付決定日〜事業完了日)に完了する計画が必要です。複数年度にまたがる大規模投資の場合は、事業完了日の設定に注意が必要です。
過去に採択されたことがある企業でも再申請できますか?
原則として再申請は可能ですが、前回採択事業の実施状況や報告義務が完了していることが条件です。ただし、一部の枠では採択回数に制限がある場合があります。
補助金は全額前払いで受け取れますか?
いいえ、原則として後払いです。事業を実施してから実績報告を提出し、審査後に補助金が支払われます。一部の事業者向けに概算払い(前払い)制度がある場合がありますが、要件を確認してください。
事業計画書はどのくらいの分量が必要ですか?
ものづくり補助金の事業計画書は、公募要領に記載された「様式」に従って作成します。A4用紙10〜15ページ程度が一般的です。分量より内容の充実度が重要で、「革新性」「実現可能性」「費用対効果」「将来性」の4点を具体的かつ数値的に説明することが採択のカギです。
設備の購入とリースではどちらが有利ですか?
ものづくり補助金ではファイナンスリースも補助対象になりますが、リース期間全体の費用が補助対象になるため、購入の場合と比べて補助額の計算が複雑になります。高額設備で初期費用を抑えたい場合はリースが有効ですが、購入の場合は所有権が自社に残るメリットがあります。税務・資金繰りを考慮した上で判断してください。
採択後に予算が超過した場合はどうなりますか?
採択後の予算増加(補助対象経費の増額)は原則認められません。ただし、軽微な変更(補助対象経費内での費目間流用等)は事前申請で認められる場合があります。大幅な計画変更が必要になった場合は、速やかに事務局に相談してください。

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※本記事の情報は2026年6月20日時点で公式サイトに公表されている内容に基づきます。採択率は公式公表値から当ナビ編集部が算出したものです。補助金の内容・要件は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式ポータルの最新情報をご確認ください。