設備投資に使える補助金2026年ガイド
機械導入・自動化・省力化への補助制度を徹底解説

この記事のポイント
設備投資は中小企業にとって大きな資金負担です。しかし適切な補助金を活用すれば、投資額の1/2〜2/3を国が補助してくれます。設備投資に使える国の制度は「ものづくり補助金」「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型・一般型)」「中小企業新事業進出補助金」など複数あり、「何のための設備投資か」という目的によって選ぶべき制度が変わります。本記事では設備投資の目的別に、現行の制度を横断して整理します(各制度の詳しい申請手順は個別記事へリンクしています)。
目的から選ぶ設備投資の制度(2026年時点)

革新的な製品・生産プロセスへの設備投資 → ものづくり補助金:新製品開発・生産性向上の「革新性」が問われる枠。第23次公募では高付加価値化枠が最大2,500万円、グローバル枠が最大3,000万円(補助率 中小1/2・小規模2/3)。
人手不足解消の省力化設備(カタログから選ぶ) → 省力化投資補助金 カタログ注文型:登録済みのロボット・自動機器などから選ぶ簡易な仕組み。従業員数に応じ補助上限200万〜1,000万円(賃上げ達成で最大1,500万円)、補助率1/2以下。
現場に合わせたオーダーメイドの省力化投資 → 省力化投資補助金 一般型:設備・システムを自由に組み合わせる公募回制の枠。従業員数に応じ補助上限750万〜8,000万円(賃上げ達成で最大1億円)。
新分野への進出を伴う設備投資 → 中小企業新事業進出補助金:既存の事業再構築補助金に代わり2025年度に創設された、新事業展開向けの制度。

「何を実現したいか」で制度を選ぶことが採択への近道です。各制度の上限額・補助率は本文の一覧表で比較できます。

設備投資に活用できる主な補助金一覧

設備投資に使える国の主な補助金を、2026年時点の現行制度で整理しました。上限額は従業員数や枠によって変わるため、詳細は各制度の公式サイト(本記事末尾の出典参照)で必ずご確認ください。

補助金名補助率補助上限(目安)主な対象設備
ものづくり補助金
(製品・サービス高付加価値化枠)
中小1/2・小規模2/3 最大2,500万円 革新的な製品・サービス開発/生産プロセス改善のための機械装置・システム
ものづくり補助金
(グローバル枠)
中小1/2・小規模2/3 最大3,000万円 海外展開を伴う設備投資
中小企業省力化投資補助金
(カタログ注文型)
1/2以下 従業員数別 200万〜1,000万円
(賃上げ達成で最大1,500万円)
カタログ登録製品(ロボット・自動搬送機・自動精算機等)
中小企業省力化投資補助金
(一般型)
中小1/2(2/3)・小規模2/3 従業員数別 750万〜8,000万円
(賃上げ達成で最大1億円)
現場に合わせたオーダーメイドの設備・システム
中小企業新事業進出補助金 1/2 等(公募要領による) 従業員数・枠により異なる
(公式要領参照)
新分野進出・新事業展開のための設備一式
IT導入補助金 枠により1/2〜3/4等 枠により異なる ソフトウェアと一体で導入するPC・POSレジ・タブレット等

出典:ものづくり補助金 総合サイト「公募要領(第23次締切分)」、中小企業省力化投資補助金 公式サイト(カタログ注文型・一般型の各制度概要)、中小企業新事業進出補助金 公式サイト。上限額・補助率は2026年7月時点の各公式サイト公表値に基づき当ナビ編集部が整理。

設備投資の目的別・制度の選び方

設備投資に使える制度は複数あり、「何のための投資か」で選ぶべき制度が変わります。目的別に整理すると、自社に合う制度が見つけやすくなります。

革新的な製品開発・生産性向上のための設備 → ものづくり補助金

「革新性」を事業計画書で示す必要があります。既存設備の単純な更新ではなく、新製品開発・生産プロセス改善に向けた「革新的な取組み」であることを証明できる場合に向いています。補助上限は大きいですが採択難易度も高めです。なお、かつてものづくり補助金にあった省力化向けの枠は第23次公募時点で廃止され、人手不足解消の省力化投資は下記の別制度「中小企業省力化投資補助金」が受け皿となっています。制度の詳しい枠・申請手順はものづくり補助金2026年度申請ガイドで解説しています。

カタログから選ぶ手軽な省力化設備 → 省力化投資補助金 カタログ注文型

あらかじめ登録された製品リスト(カタログ)から選んで申請するシンプルな仕組みです。販売事業者が申請をサポートしてくれるため、人手不足に悩む小規模事業者でも比較的申請しやすい制度です。補助率は1/2以下、補助上限は従業員数に応じて200万〜1,000万円(賃上げ要件を達成した場合は最大1,500万円)で、随時公募を受け付けています。

現場に合わせたオーダーメイドの省力化投資 → 省力化投資補助金 一般型

カタログにない設備やシステムを、現場や事業内容に合わせて自由に組み合わせて導入できる枠です。補助率は中小1/2(大幅な賃上げで2/3)・小規模2/3、補助上限は従業員数に応じて750万〜8,000万円(賃上げ達成で最大1億円)と大きいのが特徴で、公募回制で募集されます。

新分野への進出を伴う設備投資 → 中小企業新事業進出補助金

既存事業とは異なる新市場・新分野への進出を伴う設備投資を支援する制度で、中小企業基盤整備機構が運営しています。かつての「事業再構築補助金」は新規の公募を終了しており、新事業展開の受け皿としては本制度が該当します。公募回制で、2026年時点では複数回の公募が実施されています(上限額・要件は公募要領をご確認ください)。

設備投資で成果を上げた実在の事例(公式成果事例集より)

以下は、全国中小企業団体中央会が公開する「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の事業者の設備投資事例です。社名・所在地・成果はいずれも同事例集に基づく公開情報であり、架空の合成例ではありません。設備投資補助金が実際にどのような成果につながっているか、参考にしてください。

株式会社山から(山形県上山市/洋菓子製造)

手作業中心の製造が増産要請に追いつかない課題を抱えていました。ものづくり補助金を活用して大型ミキサー・包餡機・自動整列機を導入した結果、看板商品のシュークリームの製造時間を従来比で約3割削減。包餡工程は人員を2人から1人に、整列工程は5人から3人に省人化し、1日あたりの製造個数を4,000個から6,000個以上へ引き上げました。手作業からの自動化という、設備投資による省力化の典型例です。

有限会社武居製作所(栃木県栃木市/金属プレス加工)

受注部品の多様化で既存の150トンプレス機ではスペック不足が顕在化していました。ものづくり補助金でコマツ製200トンプレス機を導入し、大型金型で従来2工程を1工程に集約してコストを削減。建設機械向けの燃料タンクカバーなど新規受注の獲得にもつながり、売上高は2022年5月期の約7.5億円から2024年5月期の約8.9億円へと伸長しました。大型設備への投資が受注拡大に直結した事例です。

株式会社ヤナギモト(大阪府高石市/砂型鋳造・ポンプ部品)

ポンプの重要部品「インペラ」で100分の1mmレベルの精度を求められる一方、従来はノギスによる手作業測定でした。ものづくり補助金で非接触の3次元(3D)スキャナーを導入し、ボタン一つで高精度な寸法測定・CADデータ化が可能に。検査の自動化と属人化の解消を実現し、検査担当者を収益性の高い新規事業の開拓へ振り向けられるようになりました。検査・測定設備への投資が人材の再配置を生んだ事例です。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」(全国中小企業団体中央会)。上記3者はいずれも同事例集に掲載された実在の事業者です。

ものづくり補助金の実績

第1〜21次の累計で42,277件・約3,613億円が交付決定(公式公表値)。機械装置・システム構築費が補助の中心。

省力化補助金の特徴

カタログ注文型は登録製品から選ぶ簡易な仕組みで、販売事業者が申請をサポート。随時公募を受け付けている。

制度選びが成否を分ける

革新性を問うものづくり補助金と、汎用製品で省力化する省力化投資補助金では申請の難易度・準備が異なる。目的に合う制度選びが重要。

設備投資補助金を申請する前のチェックリスト

注意:補助金は後払いです。設備の発注・支払いはすべて交付決定後に行う必要があります。見積書を取るのは問題ありませんが、発注・契約・支払いは交付決定の通知を受けてから行ってください。

採択までの申請フロー7ステップ

設備投資補助金の申請は、準備から採択・設備購入まで複数のステップがあります。特に「交付決定前に設備を発注してはいけない」というルールを誤ると補助金が受け取れなくなるため、流れを正確に把握しておきましょう。

  1. GビズIDプライムの取得(申請前・必須)補助金の電子申請にはGビズIDプライムが必要です。取得には約2〜4週間かかるため、最優先で手続きしてください。印鑑証明書とともに申請します。
  2. 導入設備の決定・見積取得補助対象の設備を選定し、メーカー・販売店から見積書を取得します。この段階では「見積を取るだけ」にとどめ、発注・契約はしないでください。
  3. 認定支援機関への相談ものづくり補助金などは「認定経営革新等支援機関」(税理士・中小企業診断士・商工会議所等)の確認・支援が必要です。事前に相談し、計画書の内容をレビューしてもらいます。
  4. 事業計画書の作成・電子申請公募期間中に事業計画書を作成し、電子申請システムから申請します。数値目標・設備の必要性・期待効果を具体的に記載します。
  5. 採択発表・交付申請採択通知を受けたら、次に「交付申請」を行います。補助事業の詳細を確定させ、正式に補助金の交付を受ける手続きです。
  6. 交付決定後に設備の発注・購入交付決定の通知が届いてから、はじめて設備の発注・契約・支払いを行います。この順番を守らないと補助金を受け取れません。
  7. 実績報告・補助金の受取設備の導入・稼働開始後に「実績報告」を提出します。審査を経て補助金が振り込まれます(後払い方式)。報告書には領収書・写真・効果測定データが必要です。

設備投資補助金の採択率を上げるポイント

具体的な数値目標を設定する

「生産性が○%向上する」「人件費が年間○万円削減できる」「売上が○%増加する」など、定量的な効果目標を計画書に明記してください。根拠となるデータ(現状の生産データ・見積書等)も添付できると説得力が増します。

設備の「革新性」を丁寧に説明する

単なる設備更新ではなく、現在の課題(人手不足・品質ばらつき・リードタイム長期化等)を解決するための「革新的な取組み」であることを具体的に説明してください。

補助事業期間内に確実に完了できる計画を立てる

設備の納品・設置・稼働開始・試運転まで含めたスケジュールを現実的に設計し、補助事業完了期限内に余裕を持って終了できる計画にしてください。

設備投資補助金でよくある失敗事例と対策

補助金の申請・利用において、惜しい失敗で採択を逃したり、採択後に補助金を受け取れないケースがあります。以下の失敗事例を参考に、対策を講じておきましょう。

失敗例1:交付決定前に設備を発注してしまった

最もよくある致命的なミスです。「採択通知が来たから大丈夫」と思って発注してしまいがちですが、採択≠交付決定です。補助金が振り込まれるのは「交付決定」後の発注分のみです。交付申請の審査が完了し、正式に交付決定通知が届いてから発注してください。

失敗例2:事業計画書に数値根拠がない

「生産性が向上する」「効率化できる」という定性的な記述だけでは採択されにくいです。「現在の月産○個 → 導入後○個(○%増)」「現在の不良率○% → 1%以下(品質保証コスト年△万円削減)」のように、現状値と目標値を数値で示すことが重要です。根拠となる現状データ(生産実績・コスト明細等)があると更に説得力が増します。

失敗例3:補助対象外の経費を申請してしまった

設備の運搬費・設置工事費・消耗品費など、補助対象に含まれるかどうかは補助金ごとに異なります。申請前に公募要領を熟読し、不明な点は事務局に問い合わせて確認しましょう。後から経費を削除することになると補助額が大幅に減る場合があります。特に土地・建物の取得費は原則対象外のため注意が必要です。

失敗例4:実績報告書類の不備で補助金受取が遅延

実績報告では発注書・納品書・支払証明書・稼働状況の写真など多数の書類が必要です。設備導入後すぐに整理・保管しておかないと後から書類を揃えることが困難になります。補助事業期間中の書類は漏れなく保管してください。また、補助事業完了後3〜5年間の「事業化状況報告」義務がある点も覚えておきましょう。

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よくある質問(FAQ)

中古設備でも補助対象になりますか?
ものづくり補助金では一部の要件を満たす中古設備も補助対象になります。ただし市場流通価格を証明する書類が必要です。省力化投資補助金(カタログ型)は登録製品のみのため中古は対象外です。各補助金の公募要領で確認してください。
リース・レンタル機器も補助対象ですか?
一部の補助金ではリース料が補助対象になります(例:ものづくり補助金ではファイナンスリースが対象)。オペレーティングリース・レンタルは原則対象外です。
設備投資と一緒に建物の改修費も申請できますか?
ものづくり補助金では建物費・専用工事費も一部補助対象になります。ただし補助上限の1/2以内に制限される場合があります。土地・建物の取得費は原則対象外です。
採択後に設備の仕様変更はできますか?
採択後の大幅な計画変更は原則認められません。仕様変更が必要な場合は事前に補助金の事務局に相談し、「計画変更申請」の手続きが必要です。
設備を購入後に補助金申請することはできますか?
できません。すべての補助金は「交付決定後の発注・契約・支払い」が原則です。設備を先に購入してから補助金申請することは認められていません。まず補助金に採択・交付決定されてから、設備の発注・購入を行う順番を守ってください。見積書を取ること自体は申請前でも問題ありません。
複数の設備投資補助金に同時申請できますか?
同一の設備・経費に対して複数の補助金を重複して申請することは原則禁止されています。ただし、異なる設備・目的であれば別々の補助金を使い分けることは可能です。例えばIT設備はIT導入補助金、製造設備はものづくり補助金という形での使い分けは認められています。申請前に各補助金の公募要領で重複申請の禁止要件を確認してください。
ものづくり補助金の採択率はどのくらいですか?
公募回によって大きく変動します。公式公表値から当ナビ編集部が算出すると、制度初期(第1〜2次)は57〜62%台と高かった一方、直近の第18〜22次は31〜37%台で推移しています(第22次=2026年4月発表は37.5%)。採択率を上げるには、事業計画書での数値目標の明確化・認定支援機関との連携・革新性の丁寧な説明が重要です。なお省力化投資補助金(カタログ注文型)は登録製品から選ぶ簡易な仕組みで、審査は要件確認が中心です。
設備投資補助金を申請する際、コンサルタントに依頼すべきですか?
申請書類の作成に慣れていない場合は、認定経営革新等支援機関(商工会議所・税理士・中小企業診断士等)に相談することをおすすめします。無料または低額で支援を受けられる機関も多くあります。ただし「成功報酬型」の民間コンサルタントを利用する際は、報酬の相場感(採択補助金額の10〜20%程度)と実績を事前に確認してください。

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※本記事の情報は2026年7月時点で各公式サイトに公表されている内容に基づきます。採択率は公式公表値から当ナビ編集部が算出したものです。補助金の内容・要件・上限額・補助率は変更される場合がありますので、申請前に必ず各制度の公式サイトの最新情報をご確認ください。