設備投資に使える国の主な補助金を、2026年時点の現行制度で整理しました。上限額は従業員数や枠によって変わるため、詳細は各制度の公式サイト(本記事末尾の出典参照)で必ずご確認ください。
| 補助金名 | 補助率 | 補助上限(目安) | 主な対象設備 |
|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 (製品・サービス高付加価値化枠) |
中小1/2・小規模2/3 | 最大2,500万円 | 革新的な製品・サービス開発/生産プロセス改善のための機械装置・システム |
| ものづくり補助金 (グローバル枠) |
中小1/2・小規模2/3 | 最大3,000万円 | 海外展開を伴う設備投資 |
| 中小企業省力化投資補助金 (カタログ注文型) |
1/2以下 | 従業員数別 200万〜1,000万円 (賃上げ達成で最大1,500万円) |
カタログ登録製品(ロボット・自動搬送機・自動精算機等) |
| 中小企業省力化投資補助金 (一般型) |
中小1/2(2/3)・小規模2/3 | 従業員数別 750万〜8,000万円 (賃上げ達成で最大1億円) |
現場に合わせたオーダーメイドの設備・システム |
| 中小企業新事業進出補助金 | 1/2 等(公募要領による) | 従業員数・枠により異なる (公式要領参照) |
新分野進出・新事業展開のための設備一式 |
| IT導入補助金 | 枠により1/2〜3/4等 | 枠により異なる | ソフトウェアと一体で導入するPC・POSレジ・タブレット等 |
出典:ものづくり補助金 総合サイト「公募要領(第23次締切分)」、中小企業省力化投資補助金 公式サイト(カタログ注文型・一般型の各制度概要)、中小企業新事業進出補助金 公式サイト。上限額・補助率は2026年7月時点の各公式サイト公表値に基づき当ナビ編集部が整理。
設備投資に使える制度は複数あり、「何のための投資か」で選ぶべき制度が変わります。目的別に整理すると、自社に合う制度が見つけやすくなります。
「革新性」を事業計画書で示す必要があります。既存設備の単純な更新ではなく、新製品開発・生産プロセス改善に向けた「革新的な取組み」であることを証明できる場合に向いています。補助上限は大きいですが採択難易度も高めです。なお、かつてものづくり補助金にあった省力化向けの枠は第23次公募時点で廃止され、人手不足解消の省力化投資は下記の別制度「中小企業省力化投資補助金」が受け皿となっています。制度の詳しい枠・申請手順はものづくり補助金2026年度申請ガイドで解説しています。
あらかじめ登録された製品リスト(カタログ)から選んで申請するシンプルな仕組みです。販売事業者が申請をサポートしてくれるため、人手不足に悩む小規模事業者でも比較的申請しやすい制度です。補助率は1/2以下、補助上限は従業員数に応じて200万〜1,000万円(賃上げ要件を達成した場合は最大1,500万円)で、随時公募を受け付けています。
カタログにない設備やシステムを、現場や事業内容に合わせて自由に組み合わせて導入できる枠です。補助率は中小1/2(大幅な賃上げで2/3)・小規模2/3、補助上限は従業員数に応じて750万〜8,000万円(賃上げ達成で最大1億円)と大きいのが特徴で、公募回制で募集されます。
既存事業とは異なる新市場・新分野への進出を伴う設備投資を支援する制度で、中小企業基盤整備機構が運営しています。かつての「事業再構築補助金」は新規の公募を終了しており、新事業展開の受け皿としては本制度が該当します。公募回制で、2026年時点では複数回の公募が実施されています(上限額・要件は公募要領をご確認ください)。
以下は、全国中小企業団体中央会が公開する「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」に掲載された実在の事業者の設備投資事例です。社名・所在地・成果はいずれも同事例集に基づく公開情報であり、架空の合成例ではありません。設備投資補助金が実際にどのような成果につながっているか、参考にしてください。
手作業中心の製造が増産要請に追いつかない課題を抱えていました。ものづくり補助金を活用して大型ミキサー・包餡機・自動整列機を導入した結果、看板商品のシュークリームの製造時間を従来比で約3割削減。包餡工程は人員を2人から1人に、整列工程は5人から3人に省人化し、1日あたりの製造個数を4,000個から6,000個以上へ引き上げました。手作業からの自動化という、設備投資による省力化の典型例です。
受注部品の多様化で既存の150トンプレス機ではスペック不足が顕在化していました。ものづくり補助金でコマツ製200トンプレス機を導入し、大型金型で従来2工程を1工程に集約してコストを削減。建設機械向けの燃料タンクカバーなど新規受注の獲得にもつながり、売上高は2022年5月期の約7.5億円から2024年5月期の約8.9億円へと伸長しました。大型設備への投資が受注拡大に直結した事例です。
ポンプの重要部品「インペラ」で100分の1mmレベルの精度を求められる一方、従来はノギスによる手作業測定でした。ものづくり補助金で非接触の3次元(3D)スキャナーを導入し、ボタン一つで高精度な寸法測定・CADデータ化が可能に。検査の自動化と属人化の解消を実現し、検査担当者を収益性の高い新規事業の開拓へ振り向けられるようになりました。検査・測定設備への投資が人材の再配置を生んだ事例です。
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト「令和6年度ものづくり補助金成果事例集」(全国中小企業団体中央会)。上記3者はいずれも同事例集に掲載された実在の事業者です。
第1〜21次の累計で42,277件・約3,613億円が交付決定(公式公表値)。機械装置・システム構築費が補助の中心。
カタログ注文型は登録製品から選ぶ簡易な仕組みで、販売事業者が申請をサポート。随時公募を受け付けている。
革新性を問うものづくり補助金と、汎用製品で省力化する省力化投資補助金では申請の難易度・準備が異なる。目的に合う制度選びが重要。
設備投資補助金の申請は、準備から採択・設備購入まで複数のステップがあります。特に「交付決定前に設備を発注してはいけない」というルールを誤ると補助金が受け取れなくなるため、流れを正確に把握しておきましょう。
「生産性が○%向上する」「人件費が年間○万円削減できる」「売上が○%増加する」など、定量的な効果目標を計画書に明記してください。根拠となるデータ(現状の生産データ・見積書等)も添付できると説得力が増します。
単なる設備更新ではなく、現在の課題(人手不足・品質ばらつき・リードタイム長期化等)を解決するための「革新的な取組み」であることを具体的に説明してください。
設備の納品・設置・稼働開始・試運転まで含めたスケジュールを現実的に設計し、補助事業完了期限内に余裕を持って終了できる計画にしてください。
補助金の申請・利用において、惜しい失敗で採択を逃したり、採択後に補助金を受け取れないケースがあります。以下の失敗事例を参考に、対策を講じておきましょう。
最もよくある致命的なミスです。「採択通知が来たから大丈夫」と思って発注してしまいがちですが、採択≠交付決定です。補助金が振り込まれるのは「交付決定」後の発注分のみです。交付申請の審査が完了し、正式に交付決定通知が届いてから発注してください。
「生産性が向上する」「効率化できる」という定性的な記述だけでは採択されにくいです。「現在の月産○個 → 導入後○個(○%増)」「現在の不良率○% → 1%以下(品質保証コスト年△万円削減)」のように、現状値と目標値を数値で示すことが重要です。根拠となる現状データ(生産実績・コスト明細等)があると更に説得力が増します。
設備の運搬費・設置工事費・消耗品費など、補助対象に含まれるかどうかは補助金ごとに異なります。申請前に公募要領を熟読し、不明な点は事務局に問い合わせて確認しましょう。後から経費を削除することになると補助額が大幅に減る場合があります。特に土地・建物の取得費は原則対象外のため注意が必要です。
実績報告では発注書・納品書・支払証明書・稼働状況の写真など多数の書類が必要です。設備導入後すぐに整理・保管しておかないと後から書類を揃えることが困難になります。補助事業期間中の書類は漏れなく保管してください。また、補助事業完了後3〜5年間の「事業化状況報告」義務がある点も覚えておきましょう。
※本記事の情報は2026年7月時点で各公式サイトに公表されている内容に基づきます。採択率は公式公表値から当ナビ編集部が算出したものです。補助金の内容・要件・上限額・補助率は変更される場合がありますので、申請前に必ず各制度の公式サイトの最新情報をご確認ください。