介護・福祉業が使える補助金まとめ【2026年最新版】
設備導入・人材確保・DX推進

この記事のポイント
介護・福祉業は人手不足が最も深刻な業種のひとつであり、国は設備導入から人材育成まで手厚い支援制度を整備しています。2026年度は介護ロボット導入補助金(1台あたり最大750万円)・省力化投資補助金(最大1,500万円)・IT導入補助金(最大450万円)などを組み合わせることで、大幅なコスト負担軽減が可能です。本記事では主要制度を金額・補助率付きで整理し、申請のポイントを解説します。

介護・福祉業向け補助金の全体像

日本の介護・福祉業は少子高齢化の進展とともに需要が急拡大している一方、慢性的な人手不足と低い賃金水準が課題となっています。厚生労働省・経済産業省・各都道府県は、介護施設・訪問介護事業所・障害福祉サービス事業所などが設備投資や職場環境改善に取り組みやすくするため、多様な補助金・助成金・加算制度を用意しています。

介護・福祉業が活用できる支援制度は大きく4つのカテゴリに分けられます。①介護機器・ICTの導入支援(厚労省)、②汎用設備の省力化投資支援(経産省)、③デジタル化・DX推進支援(経産省)、④人材確保・処遇改善支援(厚労省)です。特に介護ロボットとICTシステムは、介護業種に特化した専用の補助スキームが存在する点が他業種と大きく異なります。

制度名補助上限額補助率主な用途
介護ロボット導入支援事業(厚労省)最大750万円/台定額補助移乗介助・見守り・排泄支援ロボット等
介護施設ICT導入補助金(厚労省)最大260万円/事業所定額補助介護記録・情報共有・ケアプランソフト
省力化投資補助金(経産省)最大1,500万円1/2介護補助機器・自動化設備
IT導入補助金(経産省)最大450万円最大75%勤怠・シフト・請求管理システム
キャリアアップ助成金(厚労省)最大72万円/人定額非正規→正規転換・賃金改善
介護・障害福祉従事者処遇改善支援補助金月額9,000円相当/人実費補助介護職員の賃金引き上げ

※補助額・補助率は公募回・都道府県によって異なります。必ず最新の公募要領をご確認ください。

介護ロボット・ICT導入補助金(厚労省)

厚生労働省が所管する「介護ロボット・センサー等の導入支援事業」は、介護施設や在宅介護事業所が介護ロボットや見守りセンサー等を導入する際の費用を補助する制度です。現場の身体的負担軽減と業務効率化を目的としており、介護業界に特化した最も活用しやすい補助金のひとつです。

補助対象となる介護ロボットの種類

経済産業省・厚生労働省が定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」に基づき、以下6分野の機器が補助対象になります。

分野対象機器の例導入効果
移乗介助パワーアシストスーツ・自動移乗機腰への負担を大幅軽減、腰痛による離職防止
移動支援歩行アシスト機器・屋外移動支援ロボット利用者の自立移動を促進、介助工数削減
排泄支援自動排泄処理装置・ポータブルトイレ補助機器夜間介助回数を削減、職員の負担軽減
見守り・コミュニケーションセンサー型見守りシステム・コミュニケーションロボット夜間巡回回数の削減、安全確認の効率化
入浴支援入浴補助ロボット・自動浴槽リフト入浴介助の身体的負担軽減
介護業務支援記録補助・情報共有システム書類作成時間の削減、ケアの質向上

介護施設ICT導入補助金

介護事業所・施設がICTシステムを導入する費用を補助する制度です。介護記録ソフト・ケアプランソフト・情報共有システムなど、業務のデジタル化を幅広くカバーします。1事業所あたり最大260万円が補助され、複数の機器・ソフトを組み合わせて申請できます。

導入事例:特別養護老人ホームA(定員60名)

課題:夜間巡回を2名体制で実施していたが、職員の疲弊と採用難が深刻だった。

対応:見守りセンサーシステム(各居室設置・60室分)と介護記録ソフトをICT導入補助金で導入(補助額 約220万円)。夜間巡回の頻度を約40%削減し、夜勤職員を2名→1.5名体制に移行。記録時間も1日あたり約45分短縮。年間人件費換算で約180万円のコスト削減に成功した。

省力化投資補助金(経産省)

省力化投資補助金は、人手不足解消のために汎用製品(カタログ製品)を導入する中小企業・小規模事業者を支援する制度です。介護・福祉業でも、特定の条件を満たす自動化機器の導入に活用できます。厚労省の介護ロボット補助金と異なり、経産省の補助金であるため対象機器の範囲が広く、より汎用的な自動化機器に適用できます。

介護・福祉業での活用例

補助上限額は従業員規模によって異なります(従業員21〜50名の事業所で最大1,000万円、51〜100名で最大1,500万円)。補助率は1/2です。厚労省の介護ロボット補助金と対象外経費が被らない範囲で、両制度を組み合わせて活用することも可能です。

IT導入補助金(介護業務のDX化)

IT導入補助金は介護・福祉業のバックオフィス業務や情報管理のデジタル化に適しています。厚労省のICT補助金が「介護記録・ケアプラン」などの介護業務直結ソフトをカバーするのに対し、IT導入補助金は「人事・勤怠・給与・請求管理」などの経営管理系ツールをカバーします。

介護・福祉業で特に活用されるITツール

特に「デジタル化基盤導入枠(インボイス対応)」では補助率最大75%が適用されるため、会計ソフトや請求管理システムの導入コストを大幅に削減できます。

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処遇改善加算・職場環境等要件

介護・福祉業に特有の支援制度として「処遇改善加算」があります。これは補助金とは異なり、介護報酬(国からの報酬単価)に上乗せされる形で職員の賃金引き上げを支援する仕組みです。2024年度の介護報酬改定により、複数の加算が「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。

介護職員等処遇改善加算(2024年度統合後)

加算区分加算率の目安(訪問介護の場合)主な要件
Ⅰ(最高区分)24.5%職場環境等要件(全項目)・キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅲ・月額賃金改善要件・最低賃金要件
22.4%職場環境等要件・キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅱ・月額賃金改善要件
18.3%職場環境等要件・キャリアパス要件ⅠまたはⅡ
14.5%上記要件の一部を満たす場合

処遇改善加算は「取得すれば必ずその分の収入増になる」制度であり、要件を満たしているにもかかわらず未申請のまま損をしている事業所が少なくありません。まず現在取得している加算区分と、上位区分取得に向けた不足要件を確認することをお勧めします。

介護・障害福祉従事者処遇改善支援補助金

厚生労働省は処遇改善加算とは別に、介護職員・障害福祉職員の賃金を月額平均9,000円引き上げるための補助金を実施しています。補助対象は、介護・障害福祉サービス事業所に勤務する全職員(対象サービス従事者)です。事業所を通じた賃金上乗せ支給の形をとるため、支給対象の職員を正確に把握して申請することが重要です。

人材確保・雇用関連の助成金

介護・福祉業では人材確保が経営の最重要課題のひとつです。以下の雇用関連助成金は、採用コスト・育成コストの一部を国が肩代わりしてくれる有力な制度です。

キャリアアップ助成金(非正規→正規転換)

パート・契約社員として働く介護職員を正社員に転換した場合、1人あたり最大72万円(中小企業)の助成が受けられます。介護業界はパートタイムや契約職員が多く、正社員化による定着率向上は採用コスト削減にも直結します。

コース助成額支給要件
正社員化コース1人あたり最大72万円有期雇用等→正規雇用への転換(就業規則に転換規定が必要)
賃金規定等改定コース1人あたり最大8万円全非正規職員の賃金を3%以上引き上げ
賞与・退職金制度導入コース1事業所あたり最大38万円非正規職員への賞与・退職金制度の新規導入

人材開発支援助成金(介護・福祉人材の育成)

介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策講座など、職員のスキルアップ研修の費用を補助する制度です。特に「事業展開等リスキリング支援コース」は、認知症ケア専門研修や福祉用具専門相談員資格取得などにも活用できます。

特定求職者雇用開発助成金(介護雇用促進コース)

ハローワーク等の紹介を通じて介護関連の資格取得を目指す求職者(65歳以上の高齢者・障害者等)を採用した際に受給できる助成金です。採用から6ヶ月〜2年間にわたって支給され、1人あたり最大240万円(障害者雇用の場合)の助成が受けられます。介護業界では即戦力となるシニア人材の活用とセットで活用されるケースが増えています。

補助金活用の流れ(ステップ)

  1. 現状の課題と導入したい設備・システムを整理する 「夜間巡回の負担を減らしたい」「介護記録の手書きをなくしたい」「職員の定着率を上げたい」など、具体的な課題を明確にします。課題に合った補助金が決まります。
  2. GビズIDプライムを取得する 経産省系の補助金(IT導入補助金・省力化投資補助金等)にはGビズIDプライムが必須です。申請から発行まで2〜3週間かかるため、早めに手続きしましょう。厚労省系の補助金はGビズID不要の場合もあります。
  3. 都道府県・市区町村の窓口に相談する 厚労省の介護ロボット・ICT補助金は都道府県経由で申請する場合がほとんどです。まず居住地・事業所所在地の都道府県福祉部局または市区町村介護保険担当課に問い合わせ、公募スケジュールを確認しましょう。
  4. 処遇改善加算の現在取得状況を確認する 処遇改善加算は申請のハードルが比較的低く、取得するほど収入が増える制度です。まず現在取得している区分と、上位区分取得に必要な未達要件を洗い出します。社会保険労務士・都道府県の介護担当窓口への相談が近道です。
  5. 補助金の公募期間中にオンライン申請する 各補助金の申請ポータルから必要書類を揃えてオンライン申請します。特に厚労省の介護ロボット補助金は公募期間が短い場合があるため、公告を見逃さないよう注意が必要です。補助金ナビで最新情報を確認してください。
  6. 採択・交付決定後に機器・システムを発注・導入する 交付決定通知が届く前に機器を購入・契約してはいけません。通知後に発注・支払い・設置・導入を行います。
  7. 実績報告・補助金の受領 事業完了後に実績報告書と証拠書類(納品書・領収書・導入前後の写真等)を提出します。審査通過後に補助金が振り込まれます。

介護・福祉事業者が申請前に確認すべきポイント

介護・福祉業での補助金申請には、他業種と異なる固有の注意点があります。特に厚労省系と経産省系の補助金を組み合わせる場合は、対象経費の重複チェックが重要です。

厚労省系 vs 経産省系の補助金を使い分けるポイント

厚労省の介護ロボット・ICT補助金:介護業種専用。医療・介護の専用機器(見守りセンサー・介護記録ソフト等)に特化。都道府県経由での申請が多い。公募期間・予算に限りがあり、毎年競争率が高い。

経産省の省力化投資補助金・IT導入補助金:業種横断の汎用制度。介護専用機器以外の汎用設備(清掃ロボット・シフト管理ソフト等)に活用しやすい。GビズIDで全国一律にオンライン申請できる。

両制度は同一の機器・経費への重複申請は禁止ですが、異なる機器・システムに対してそれぞれ申請することは可能です。予算総額と対象経費を整理した上で、最も補助率の高い制度を各経費に割り当てましょう。

法人格別の申請可否

介護・福祉事業者は社会福祉法人・NPO法人・医療法人・株式会社・合同会社など多様な法人格があります。補助金によって申請可能な法人格が異なります。一般的に経産省系の補助金(IT導入補助金・省力化投資補助金・ものづくり補助金等)は「中小企業者等」が対象で、社会福祉法人・NPO法人・医療法人は対象外になるケースがあります。一方、厚労省の介護ロボット補助金・ICT補助金は社会福祉法人・医療法人を含む介護事業者全般が対象です。申請前に自法人の形態が対象に含まれるか必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

社会福祉法人でも経産省の補助金(IT導入補助金等)を申請できますか?
IT導入補助金は「中小企業・小規模事業者等」が対象であり、社会福祉法人は原則対象外です。ただし、社会福祉法人が運営する事業のうち「営利目的の付随事業」に限り対象になる場合があります。一方、省力化投資補助金の一部の枠では医療・介護・保育分野の非営利法人が対象になることがあります。最新の公募要領で申請者要件を必ず確認してください。
介護ロボット補助金はどこに申請すればいいですか?
厚生労働省の介護ロボット・センサー等導入支援事業は、都道府県が窓口になっているケースがほとんどです。事業所の所在地を管轄する都道府県の「福祉部局(介護保険・高齢者福祉担当課)」に問い合わせるのが最初のステップです。公募は年1〜2回程度のため、スケジュールを早めに確認してください。
処遇改善加算と補助金は同時に活用できますか?
はい、処遇改善加算と各補助金は別の制度であり、同時に活用できます。処遇改善加算は介護報酬の上乗せ(収入増)として職員賃金に充てる制度、補助金は設備投資・IT導入などの費用補助です。両者の目的・対象が異なるため重複には当たりません。賃金改善と設備導入の両方を並行して進めることで、採用力と業務効率の向上を同時に実現できます。
訪問介護事業所(小規模)でも補助金を受けられますか?
はい、規模に関わらず申請できる制度が多くあります。厚労省のICT導入補助金は事業所規模を問わず申請できます(最大260万円)。キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金は従業員1名以上の事業所から申請可能です。省力化投資補助金は従業員5人以下の事業所でも最大200万円(補助率1/2)の補助が受けられます。
介護ロボットを導入したが期待した効果が出なかった場合、補助金は返還しますか?
補助金の交付条件を満たして正当に申請・受領した場合は、導入効果の有無に関わらず返還義務は発生しません。ただし、申請時に申告した「導入目的・使用方法」と大きく異なる使い方をした場合や、財産処分制限期間(補助事業終了後5年間が目安)中に機器を無断で廃棄・売却した場合は、補助金の一部返還を求められる可能性があります。
キャリアアップ助成金の正社員化コースで注意すべきことはありますか?
最も多いトラブルが「就業規則に正社員への転換規定がなかった」ケースです。転換を実施する前に、就業規則に「有期雇用から正規雇用への転換条件・手続き」を明記しておく必要があります。また、転換後6ヶ月分の賃金を支払い完了してから申請する後払い方式のため、転換から申請まで半年以上かかることも覚えておきましょう。
補助金申請を無料でサポートしてくれる機関はありますか?
介護・福祉事業者向けの無料相談窓口として、①都道府県・市区町村の介護保険担当課(厚労省系補助金)、②よろず支援拠点(経産省系補助金・経営全般)、③社会保険労務士・中小企業診断士(雇用関連助成金・補助金計画書作成)が利用できます。処遇改善加算については、各都道府県の「介護労働安定センター」が無料相談を実施しています。

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※本記事の情報は2026年5月時点のものです。補助金の内容・要件は変更される場合があります。申請前に必ず公式ポータルおよび都道府県窓口の最新情報をご確認ください。